東京、2017年7月13日-総合不動産サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国シカゴ、日本本社:千代田区永田町)が2017年7月4日に発行した「グローバルF&B/外食市場」レポートでは、世界のF&B/外食市場で起きている主な動向、特に消費者が欲しているニーズの変化に対し、外食産業/飲食テナント、そしてショッピングセンター(SC)がどう対応しているかに注目しました。
消費動向
• 世界的にF&B市場は成長を続け、ヨーロッパ、中東アフリカ、アメリカ大陸、アジア太平洋のどの地域においても、「カスタマイズ」「本物志向」「イノベーション」を重要視しながら拡大している。
• 世界主要地域において、アジア太平洋は最も外食消費支出が伸長している地域であり、2006-2016において年9.8%という伸びを示している。次に中東アフリカが年率7.4%と高い。アメリカ大陸は年6.1%、ヨーロッパは年4.2%と成熟している地域においては緩やかな成長を示している。
• 今まではSCにおけるF&Bスペースは10%程度だったのにもかかわらず、消費者・SC双方からのニーズの高まりをうけ、今や総面積の20%~30%をF&Bに割くSCも出てきている。
• SCにおいては単なる飲食店舗の配置拡大にとどまらない。消費者の「食」への興味の高まりから、F&Bスペースは単に「食べる」だけではなく、「買う・食べる・学ぶ(shop-eat-learn)」といった要素を組み入れ、エンターテインメントとエデュケーションを織り交ぜた「エデュテインメント」の場へと変容していっている。
世界外食市場概況 (アメリカ大陸・アジア太平洋・ヨーロッパ・中東アフリカ)
• 2016年、外食消費支出における世界5大市場は、アメリカ合衆国、中国、インド、スペイン、日本である(図1)。
• 外食市場全体の売上のうち、フルサービスタイプのレストランは現状約60%程度である。将来的にはカフェタイプの業種が成長していくことが予想される。
• 世界的にも従来のファストフードに代表される「フードコート」とは一線を画す、高品質なスローフードを提供する「フードホール」が流行している。すでに欧米において、例えばEATALYやTime Out Marketのように、カウンター越しの調理を目で見て楽しみながら学び、気に入ればその場で調理関連商品も購入できる総合体験型の「フードホール」が支持されている。この流れはアジア太平洋においても強いニーズがあり、多くの飲食テナントやSCが「フードホール」の導入を検討している。
• 飲食テナントにとっても、一般的な区画に単独で出店するよりも、「フードホール」タイプの出店で共用部分をうまく利用する方が、初期費用を抑えられるメリットがある。
今後の展望
• 外食消費支出は、今後10年間で全地域において着実に増加すると見込まれている。年7.5%増加すると予想されるアジア太平洋を中心に、中東アフリカは年7.3%、アメリカ大陸は年5.5%、ヨーロッパは年4.9%と成長率が予測されている(図2)。
• テクノロジーの進歩はF&Bセクターにも大きな影響が有り、宅配や店頭受け取りは急成長を見せている。これにより、店舗面積が削減される一方で、事前にアプリ経由で注文と決済を済ませるサービスは、多くの飲食店で売上増につながっている。
• SCデベロッパー/ランドロードは世界中で知られているブランドや、新しいコンセプト、ミシュランスターシェフを迎えた店などをフルサービスタイプのレストランで誘致するケースが増えている。
• 賃貸借の契約期間はこの10-15年でより短く柔軟性を帯びてきているが、流動する消費トレンドに迅速に対応するため、さらに短くなることが予想される。
• 強い外食コンテンツはSCにおける滞在時間の延長や、来館理由に良い影響を及ぼすため、結果としてSC自体の高い賃料収入に結びつくことが推測されている。まだSCや店舗においてその影響は未知数であるものの、この多様化が売上高や収益性の上昇に寄与することが期待されている。
※ レポート(英文)はこちら External Linkからダウンロードできます。
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