クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのグローバルレポート「2022年シグナル・レポート」によると、2022年には世界の不動産市場のすべての地域とセクターで回復が進み、新記録を達成することが予想されています。このレポートでは、当社の投資市場リサーチのグローバル統括者と、投資市場戦略の欧州担当統括者が、2022年の事業用不動産(CRE)投資について洞察を提供しています。
重要なポイント
- グローバル不動産市場の売買活動は、2021年、年間55%増を牽引する見事な第4四半期を迎え、新記録を達成しました。2022年も同様に需要は堅調で、金利上昇、地政学的緊張、適切な機会を見出すことが引き続き課題となりますが、上半期の売買活動は2021年を上回る可能性があり、年間を通して3%の増加が予想されます。
- 不確実性によって、投資資金は、流動的でありコアなセーフヘイブン市場への比重を高めるものの、市場で広く予想されている金利上昇を幾分か遅らせる可能性もあります。また、これは
、投資家需要の動向や、空間ニーズの構造的な変化など、不動産を取り巻く環境が依然として好調であることも背景としています。 - テナント市場の回復は、不確実性と新型コロナウイルス感染症の影響によって鈍化しますが、立ち止まることはないでしょう。事実、投資市場が景気回復を牽引している一方で、企業テナントは経済活動、雇用の成長、人材とイノベーションに焦点を当てることで、不動産を正しく理解する必要が高まっています。その結果、需要の回復、賃料インフレ、良好資産と平均的資産の格差がさらに拡大するでしょう。
- テクノロジーや人材の構造的な変化、そしてESGへの注目により、「ライトアセット(Right Assets)」の定義は進化を続けています。しかし、従来資産の多くはまだ有効であり、コロナ禍前に有効だったものの多くは、市場の健全性が回復した後も有効でしょう。
- インフレは世界金利にプレッシャーを与え続けますが、市場はすでに大幅な金融引締めを行っています。イールド・ギャップは縮小しているものの、不動産は相対的な収入と、ライトアセットがインフレ・ヘッジとして機能する可能性があることから、魅力的であり続けるでしょう。
- コロナ禍前の「従前のノーマル」への回帰は見られず、パンデミックからの回復は、オミクロンの変種により、予想より遅くなっています。企業もこの期間に事業やオフィスの使い方の見直しを続けています。
- 「Sheds, beds, meds」と呼ばれる物流施設、住宅・マルチファミリー、ライフサイエンス施設などのニッチな資産は、一部の地域では未熟な状態から成長し、投資アロケーションがさらに増加すると思われます。一方、より伝統的なセクターは、規模の大きさから、投資対象としての地位を維持しています。しかし、投資家はあらゆるセクターに対して、さまざまな仕組みや資本ルートを通じてすべてのセクターへアプローチし、機会を見つけ、あらゆるパフォーマンスの可能性を追求する必要があるでしょう。
- 新たな不動産ユーザーのパターン、より高いサステナビリティへの要求の結果、既存のストックの再調整、そしてさらに効率的な建設などが、これまでESGに焦点を当てていなかった中核市場において優先され、チャンスともなるでしょう。これはグローバルベースで進むことが予想されます。
- サプライチェーンの長期的な再設計は、世界需要と低コストな新興市場への進出・拡大にむけた資本計画改めて注目がされることでしょう。
詳しくは、「シグナル・レポート: CRE投資へのグローバルガイド」をダウンロードしてご覧ください。