ケーススタディ

Herman Miller Japan | 店舗開発

今回は特別インタビューとしまして、日本で7店舗を展開しているハーマンミラージャパン External Linkの松崎勉代表にお話を伺いました。
新店舗出店に至るまでのストーリーをお話頂いております。下記よりご覧ください。

01 プロジェクトの概要

出店の背景

松崎勉代表（以下、松崎）：ハーマンミラーの直営店である「ハーマンミラーストア」は、ハーマンミラーの世界観をお客様に体感していただける重要な場所と位置付けられています。とくにアーロンチェアをはじめとした高機能パフォーマンスチェアの売上は近年、継続的に伸長しており、日本で複数店舗を出店することでますますお客様のお役に立てるだろうというのが根本的な出店理由になります。

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お客様のワークスタイルやライフスタイルなどによって、適した家具は異なります。弊社の家具はオンラインや提携させていただいている家具量販店などでもお買い求めいただけますが、やはりメーカー直営店舗を持つことで、エルゴノミクスのスペシャリストがひとつ一つの家具の操作性はもちろん、デザインに込められたストーリーまでこと細かにお伝えすることができます。とくに私たちが大切にしているのは、お買い求めいただいた“その後”です。使いこなしてこそ、ハーマンミラーの製品の真価が発揮されるものと考えていますので、その価値を一番良い形でお伝えし、ご納得いただき、信頼してご利用いただくためにも、直営店かつ実店舗の存在意義は、我々にとってもお客様にとっても非常に大きいものだと考えています。

日本で複数店舗を出店すること自体はコロナ前から決まっていました。本国と出店計画を立てており、いざ計画を実行に移そうというタイミングでコロナ禍になったのです。が、結果、私たちにとって追い風となりました。在宅時間、在宅勤務の時間が増えれば、耐圧分散、脊髄や最適な姿勢をサポートするハーマンミラーの高機能チェアの需要は上がりますからね。とはいえ、当然ながら市場が大きく変わったわけですから、加えて＋αで考えなければならない課題や戦略も出てきました。

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クライアント様の思い

松崎：いずれの店舗も、その場所の選定にあたっては、お客様がハーマンミラーの商品をお求めやすい場所を探すのですが、それをどうやって測るかが問題です。ハーマンミラーには、物件選びにおける数多くの基準があります。トラフィックはもちろんのこと、他ブランドさんの出店状況なども考慮してお客様の利便性を判断します。

今回、C＆Wにサポートいただいて日本に5店舗出店しましたが、このうち2店舗は大阪と名古屋です。東京・丸の内店はオープンより10年以上営業していますが、首都圏以外に出店するのは初めてのことです。新天地での新店舗出店となりますから、オーナーさんに受け入れてもらえるか、そして、そもそもお客様がつくのかといった不安はありました。

加えて、こちらには1年ほどで5店舗を出店したいという要望があったわけですが、当然ながら出店に際しての課題は物件選びだけではありません。様々なことを同時進行で進めなければならない中で、タイムラインもある。本プロジェクトを遂行するためには、強力なパートナーの存在が不可欠でした。

C＆Wをパートナーとして選んでくださった理由をおきかせください

松崎：ハーマンミラーとC＆Wはかねてからグローバルパートナーでして、これからも良いパートナーシップを築きながら、お力添えいただきたいと思っております。日本で新たに出店する話になったときも、アメリカの本社から「まずはC＆W社に相談を」という連絡があったほどです。

当然ながら「以前から知っているから」「本社に言われたから」という理由だけで選んだわけではありません。これまでの実績、本郷さんという類い稀な方に担当してもらえたことが決定的になりました。本郷さんの素晴らしいところは「ここまでやってくれるのか！」というほどに、とことん私たちのニーズに即した提案およびサポートをしてくれることです。

C＆Wには物件探しからお力添えいただいたのですが、物件のオーナーさんと交わす契約の一語一句までしっかりと確認してくれるのです。もちろん、私共にもオーナーさんにもリーガルチェックがあります。それに加えて本郷さんは、少しでも気になる単語や文章があれば、持ち前のスピード感とコミュニケーション能力、専門知識、交渉力をもってして、あらゆる方々に働きかけて契約条件を整えてくださいました。彼女のサポートは、「仲介」に留まりませんでした。コンサルティング、マネジメント……適切な言葉が見当たりませんが、当然ながら私たちは不動産の専門家ではなく、物件選び以外にもやるべきことが山積みでしたので、すべてお任せすることができて大変ありがたかったです。

02 提供したソリューション

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本郷：まず、マーケットやエリアの特性をご説明させていただいたのですが、松崎さんをはじめハーマンミラー様はこの辺りについて詳細な分析をされていて、よくご存じでいらっしゃいました。続いて、ハーマンミラー様に適していると思われる5店舗の候補を各5〜10物件ほどご紹介し、松崎さんと一緒に絞り込んでいき、ご興味がある物件のオーナーさんに条件面などの交渉をしていくという流れで進めていきました。各店舗ともにベストな物件をご提案することは簡単ではありませんでしたが、とくに印象的なのは、とある都内の店舗です。

松崎：あの物件はたしかに……！最初にご紹介いただいたのは立地も素晴らしい店舗区画でした。我々は出店の検討を進めていたのですが、視認性がやや不十分とのことでブランディングの観点で本国からNGが出てしまいました。「残念ながらご縁がなかったのかな」と思い他を当たっていたのですが、本郷さんはその後もオーナーさんとの関係を絶たないで対話を続けてくれていたのです。そのおかげで、オーナーさんから視認性が高い一番良い区画のご提案をしてくれました。

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ただ、“顔”ともいえる立地だったので、出店条件や制約が多く諦めかけていたのですが、これをまとめてくれたのが本郷さんです。非常に難しい交渉だったと　思いますが、相当なデューデリジェンスをしてくれましたね。「松崎さん、諦めちゃだめです！」と叱咤激励もいただきました（笑）

本郷：各方面への働きかけ、調整、コーディネートは簡単ではありませんでしたが、諦めきれないほど良い物件だと思いました。本国の本社の方にもご納得いただける、ハーマンミラー様の世界観も表現できる、広さやその他の条件も満たしている……「こんな良い物件を逃してはいけない！」との使命感に駆られていました。

松崎：この店舗は、最初にご紹介いただいてから実際に契約するまで半年ほどかかりました。本郷さんのご尽力もあり素晴らしい店舗になったので、ぜひ多く　の方に足を運んでいただきたいですね。

C＆W担当者の思い

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本郷：世界でもトップクラスのハイエンド家具メーカーでいらっしゃるハーマンミラー様の出店に携われるということで、非常にワクワクしていました。一方で、立地やその他に求める条件のこだわり、ご要望は当然ながら大きなものになると予測しておりました。加えて、本プロジェクトは実質、約1年の間に5店舗の物件を選び、契約をしなければならない。結果として、これまでの人生で最速かつ最多のプロジェクトとなりました。

松崎：本郷さんには、無茶振りをしてしまったわけですね（笑）

本郷：松崎さんはじめ日本のプロジェクトチーム、さらに本国の本社様のご協力もあり、非常に気持ちよく進めることができました。私たちの役割は、空っぽの箱の状態の店舗をご契約いただくまでです。ただ、達成感を感じるのは、やはり実際にお店がオープンしてから。素敵なお店を拝見させていただいて、ようやく「良かった」と心から思いました。

Photo : Tomoyuki Kusunose, Daichi Ano

03 プロジェクトの結果

松崎：冒頭でもお話した通り、「ハーマンミラーストア」とは、ハーマンミラーの製品を実際に見て、触っていただける重要な場所です。カスタマーエクスペリエンスにおいて、実店舗の位置付けは最重要といっても過言ではありません。今回、C＆Wにご尽力いただいて出店した5店舗は、お客様との接点という意味でどの店舗も同じミッションを担っています。今後、日本はもちろんアジア地域でハーマンミラーの商品を展開して、お客さまへどうアプローチしていくのか。全貌は見えていませんが、アジアの注目も集まりやすい日本のこの5店舗が起点となっていくことは間違いありません。

カスタマーエクスペリエンスとは、すなわち「競争」を意味します。もちろん他社との競争も含まれますが、自社の過去との競争でもあるわけです。昨年より今年。今年より来年に希望と期待を持っています。基軸となる5店舗の出店をサポートしていただいたことで、確実にハーマンミラーストアの可能性は広がっていくはずです。