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不確実性がオフィス市場に影、アジア太平洋地域のオフィス需要は2020年第1四半期の1千万SFから2020年第2四半期には690万SFへと大幅に軟化

2/09/2020

2020年の賃料は最大15%の下落を予測

グローバル不動産総合サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)が発行したアジア太平洋地域の市場レポート「Reclaim 2020 (2020年を巻き返す)」によると、地域のグレードAオフィスの需要は前四半期比で45%減少しているものの、未だにプラス圏で推移していることが明らかになりました。地域のネットアブソープションは減少し続け、テナント企業によってコストの抑制と資金維持が今後も重要な優先事項となっています。

マーク・ランパード(C&W シンガポール商業リーシング・地域テナントレップ事業責任者)は次のように述べています。「アジア太平洋地域は、パンデミック突入時には比較的堅調な状態でしたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、オフィス市場の弱体化という当初からの予測にさらに拍車がかかりました。私たちは、中立的な市場はテナント有利に、オーナー有利な市場は中立的もしくはテナント有利に傾くと予想していましたが、この流れが予想以上の急速な加速を見せています。アジア太平洋地域では、2020年初にオーナー有利だった11市場が第2四半期の時点で、バンコク、ホーチミン、マニラ、台北のわずか4つの市場に減少し、4つの市場すべてで市況が軟化していると報告されています。

2四半期には、地域全体で賃料の下落が広範囲に見られました。景気回復の兆しが見えてきたものの、オフィス、リテール、ホテルなどのセクターはこの回復に遅れをとり、今後6ヶ月間は軟調な状況が続くと予測されます。パンデミックの前にすでに逆風に見舞われていた市場では、年間の総賃料の減少率は最大15%に達すると予想されています。空室率の見通しは、東京のようにパンデミックが発生した当初は空室率が2%未満であったのに対し、マレーシア、ジャカルタ、中国の多くの市場では空室率が20%を超えているなど、各市場の状況が多岐にわたり差異がはっきりと表れています。

不確実性の高い時期には、2020年の第12四半期に見られるように、保守的な傾向が優勢になります。市場が長期にわたって低迷することはなく事業活動と需要の回復が期待されていますが、その時期は市場によって異なります」とランパードは付け加えています。

グレードAオフィス 年間有効総賃料の成長率予測

Uncertainty Stymies Office Space Demand as Regional Net Absorption Softens from 10.1M SF in Q1 2020 to 6.9M SF in Q2 2020

 

テナント企業の視点から見ると、市場の不確実性により、ビジネス上重要度の低い検討事項を一時的に停止させぜるを得なくなりました。オフィススペースの新規問い合わせ数は減少し、地域のネットアブソープションは2020年第1四半期の1千SFから2020年第2四半期には690万平方フィートへとさらに軟化しており、これは3年間の四半期平均のたった30%に相当します。

この全体的な統計には明るい点がいくつかあります。インド市場、特にハイデラバードとムンバイは前四半期比で50%の減少で2013年以来の最軟調とはいえ、第2四半期に370万平方フィートのネットアブソープションを記録しました。明るい兆しとしては、中国のティア1市場は第1四半期が特に軟調だった後、ネットアブソープションがプラスに戻ったことが挙げられます。これらは軽度のプラス幅としか考えられないかもしれませんが、米国市場で記録された約2,280万平方フィートのマイナスのネットアブソープションとは対照的であり、この地域のこれまでの回復力をさらに際立たせています。

アジア太平洋地域の四半期純吸収率(百万平方フィート)

Uncertainty Stymies Office Space Demand as Regional Net Absorption Softens from 10.1M SF in Q1 2020 to 6.9M SF in Q2 2020

豪市場を除く
Source: Cushman & Wakefield Research

COVID-19の影響は迅速かつ劇的であり、さらなる下振れリスクはまだしばらくの間続く可能性があります。しかし、好景気のサイクルが終焉を迎えるのと同様に、不況のサイクルもまた終わりが到来します。地域全体ではすでに景気回復の新芽が出てきています。それぞれの都市がいかにウイルスを封じ込められるかと密接に結びついているため、各市場によって異なる見通しとなるでしょう」と、ドミニク・ブラウン博士(C&W アジア太平洋地域、洞察・分析責任者)は述べています。「そのため、市場の変化のスピードは様々であり、テナントとオーナー/投資家の双方から積極的かつ柔軟なアプローチが必要となります」と述べています。

総じてオフィスのニーズはコスト削減と従業員の労働柔軟性の向上によって変化が表れています。これらのワークプレイス戦略をどの程度のスピードで展開できるかはいくつかの要因に左右されますが、最終的には企業の不動産戦略、人事方針、変革管理の実践と財務的な目標を一致させることが必要となります。このような企業戦略の導入は、市場の見通しを牽引する鍵となり、2021年以降も継続していくことが予想されます。

「Reclaim 2020 (2020年を巻き返す)」は、アジア太平洋地域におけるCOVID-19パンデミックの影響と回復の進展に焦点を当てています。このレポートでは、どの領域にチャンスの芽が出てきているのか、また、投資家、オーナー、テナントがこのような環境の中でどのように不動産の意思決定を行うべきなのかについて、さらに洞察を深めています。

Reclaim 2020 2020年を巻き返す)」レポートはこちらから

 
ー以上ー
 
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドについて

クックッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(ニューヨーク取引証券所:CWK)は、オキュパイヤーとオーナーの皆様に有意義な価値をもたら す世界有数の不動産サービス会社です。約 60 カ国 400 拠点に 53,000 人の従業員を擁しています。プロパティー・マネジメント、ファ シリティー・マネジメント、プロジェクト・マネジメント、リーシング、キャピタル・マーケッツ、鑑定評価などのコア・サービス全体で、2019 年の 売上高は 88 億ドルを記録しました。詳しくは、公式ホームページ www.cushmanwakefield.comにアクセスするか公式ツイッター @CushWake External Link をフォロー下さい。

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