グローバル不動産総合サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)は、「世界データセンター市場比較2021」 レポートを発行しました。レポートによると、アジア太平洋地域ではシドニーとシンガポールが世界のデータセンター市場のトップ10にランクインしました。総合ランキングではシドニーが大きくランクを上げて3位に、シンガポールは1つ順位を上げて5位にランクインしました。
タッド・オルソン(C&W データセンター・アドバイザリー・グループ、アジア太平洋地域責任者)は、次のように述べています。
「アジア太平洋地域は全体的な成長の可能性があり、多くの市場でテクノロジー・プラットフォームとネットワークが急速に発展していることから、データセンターの設置候補地として引き続き好調です。電子商取引が引き続き盛んになり、クラウド接続がビジネスの主要な推進力となっていることから、アジア太平洋地域ではデータセンター市場の成長が加速し、セカンダリー市場も活況を呈すなど、新たな市場が台頭すると予想しています」
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの調査では、世界の1,189のデータセンターを評価し、独自の加重方法を用いて世界48市場をランク付けし、総合的なトップ10市場を決定しました。
世界ランク |
都市 |
1 |
北バージニア |
2 |
シカゴ |
3 |
シドニー |
4 |
シリコンバレー |
5 |
シンガポール |
6 |
ダラス |
7 |
ロンドン |
8 |
シアトル |
9 |
ニューヨーク/ニュージャージー |
10 |
アムステルダム |
デイブ・ファニング(C&W データセンター・アドバイザリー・グループ・リーダー、エグゼクティブ・マネージング・ディレクター)は次のように述べています。
「2020年のパンデミックで企業のクラウドへのシフトが急速に進み、企業のIT戦略の変化を加速させました。このシフトの継続と最適化は今後数年間を通じて継続し、プラットフォーム間のクラウドサービスの可用性と接続性をさらに重視するようになるでしょう。新たなデータセンターの建設は急増しており、昨年調査した市場では1.6ギガワットの建設中であったものが、今年は2.9ギガワットに増加しています。」
セカンダリー市場の重要性は引き続き高まっています。ワークロードをエッジデータセンターへ移行する動きもあり、特にヨーロッパとアジアで関心が高まっています。これらのセカンダリー市場はデータセンター事業者に大きな利益をもたらすことが多く、将来的にはプライマリー市場に成長する市場もあります。特にアジア太平洋地域では、チェンナイやクアラルンプールなどの市場が、オペレーターやハイパースケーラーの関心を集めています。
昨年のランキングでは「新興・代替市場」と認識されていたシドニーは、総合ランキングで3位と大幅に順位を上げました。主要な新規開発が発表されたことも、オーストラリア政府のITインフラの多くが変革を続けている1年の締めくくりとなりました。オーストラリアのビジネスの首都シドニーは、国内でクラウドを初期導入する上で重要な場所であり、地域間の接続性も良好です。
シンガポールとアムステルダムは、データセンター開発の抑制がかかっていますが、それでも上位10位以内にランクインしたのは、強力な既存市場、高密度のファイバー整備状況、利用可能なサービスの数々によって証明されているものです。他の市場が成長を続ける中で、両市場とも将来の開発のためのソリューションを見つけることは、今後も不可欠であり、新たな形の発電や、限られた数しか残っていない開発用地への更なる多層構造の建設などが考えられます。
今年ランクインした新たな市場の中で、ソウルは長い間見過ごされていましたが、総合的に最高のスコアを獲得してデータセンター市場としての印象的なデビューを飾りました。ソウルはセカンダリー市場と考えられていますが、300メガワット近い容量を持ち、今後の開発計画も順調で、主要なクラウドサービスもすべて利用可能です。チューリッヒ、メルボルン、マドリッドなどの、小規模な市場を持つ管理の行き届いた都市ではセカンダリー立地のエコシステムが成長していることを示唆しており、ロンドン、東京、フランクフルト、シリコンバレー、香港などのデータセンター成熟市場は、発展を続けていくことに変わりはありません。
小木康資 (C&W データセンター・アドバイザリー・グループ 日本責任者)は次のように述べています。
「コロナ禍によってデータトラフィックが増加するなか、ハイパースケーラーは自前での施設開発に積極的な姿勢をとっています。また、開発用地の枯渇を背景に、従来よりもさらに広範囲に開発用地を探す動きもあります。一方で既存のデータセンター集積地によっては、新規の電力供給がおぼつかない状況です。とはいえ、ハイパースケール用変電所の新設が具体化するなど、データセンター施設をより後押しするイニシアチブが出てきています。今後のデータセンター市場における東京圏の競争力を維持するためには、このようなインフラへの継続的な投資が必要不可欠になると考えられます。」
「世界データセンター市場比較2021」 のインタラクティブな世界地図とレポートはこちら>>
C&W データセンター・アドバイザリー・グループについて
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのデータセンター・アドバイザリー・グループは、ミッションクリティカルなユーザー、オーナー、環境に特化した不動産ソリューションを提供するエリート専門家で構成されたグローバルチームです。スケーラビリティ、信頼性、セキュリティを原動力に、豊富な知識と対応力を備えた専門家が、お客様が効果的な財務上の意思決定を行えるようにサポートします。当社の専門知識には、コロケーションリース、ハイパースケールおよびエンタープライズセンターの選択、クラウドおよびハイブリッドIT戦略、M&Aアドバイザリーサービスなどがあります。また、グローバルなダイナミクスとその影響が現地市場に与える影響を理解することで、さらなる価値を提供しています。