中国では家計収入の増加につれ、国内の消費者が、購入する商品や製品、およびサービスに対してより高い水準を求めるようになっています。これらには生鮮食品や医薬品が含まれ、その需要は冷蔵物流市場に多くの恩恵をもたらすことが証明されています。
品質に対する需要の高まりとともに、中国の生鮮食品の電子商取引業界は急速に発展しています。ユーロモニターとQianzhan Industry Research Instituteによると、2019年、この国の生鮮食品のeコマース市場規模は約288.8億人民元で、前年比19.1％増加し、中国の生鮮食品業界市場において全体の5.6％以上を占めています。
コールドチェーンロジスティクスが近年享受している需要主導の業界の成長を考えると、冷蔵物流倉庫の供給もまた、保管スペース面積の点で、同様に中国で大幅に増加しました。
Warehouse in Cloud (WIC) によると、2019年において中国国内の冷蔵物流倉庫の床面積は665万平方メートルを超え、物流倉庫市場全体の2.15％を占めています。
WICによると、中国の冷蔵物流倉庫の保管スペース面積別の分布を見ると、2019年に床面積が最多の上位5省は、遼寧省、河南省、四川省、江蘇省、広東省でした。各省の総床面積は39万平方メートル以上で、1位の遼寧省の冷蔵倉庫の総床面積は106万平方メートルを超えています。
いくつかの地方を冷蔵物流倉庫の空室率で比較すると、南京は2019年に15.5％と最も高い平均空室率を記録しましたが、成都、鄭州、広州はすべて4％を下回る値を示しています。
都市レベルの賃料は大きく異なっており、一般に中国の沿岸地域では高く、内陸部では低くなっています。2019年に、北京、上海、広州、大連では1平方メートルあたり月額100人民元を超え、中国の冷蔵物流倉庫において最も高い賃料水準を享受しました。
COVID-19感染拡大の影響
当然のことながら、新型コロナウイルス (COVID-19) の発生は、中国のコールドチェーンロジスティクス業界と冷蔵物流倉庫業に大きな影響を与えました。自宅での巣ごもり生活で人々が生鮮食品や宅配の食事を求めてオンライン小売業者に目を向けたため、オンラインショッピングが爆発的に増加しました。
さらに、より古い世代を含む、これまでオンラインショッピングを完全に受け入れたことがなかった多くの人々が、オンライン購入にすばやく適応して受け入れる必要がありました。その結果、特に日用品のオンラインショッピングが急増し、中国の封鎖期間中の生鮮食品や医薬品のオンライン購入量が増加しました。
COVID-19が発生する以前でも、コールドチェーン市場は健全な成長を遂げると予測されていました。「中国コールドチェーン物流業界レポート、2019〜2025年（英語版のみ）」は、中国のコールドチェーン物流業界の市場規模が2025年までに5,220億人民元に相当すると分析し、2018年から2025年の間に予想される年平均成長率 (CAGR) が8.5％になると予測しています。しかしながら、COVID-19の影響を考慮すると、これらの数値は上方修正する必要があるかもしれません。
将来的には、中国の産業において食品の安全性と安全保障にさらに重点が置かれるでしょう。これら2つの取り組みを支援するのに有利な位置にある冷蔵倉庫施設において、建設が急増する可能性があります。これら新しいプレミアム冷蔵倉庫施設の供給では、増加する生鮮食品や医薬品の在庫に対応し、生鮮食品や商品の保管において最高水準の健康安全レベルの維持を保証する立場にあるといえます。
中国の全体的な冷蔵物流倉庫市場は今後数年間で保管スペースの需要が増えると予想されており、市場全体がヒートアップし続ける中、より多くの投資家、開発者、オペレーターがこのセクターに関心を持つことが期待されます。