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データセンター投資と成功ファクターとしてのサステナビリティ

22/09/2021

Data Centres Investment

 

出典:不動産経済 Focus & Research No.1342

 

データセンターという新しい投資セクター

目まぐるしいテクノロジーの進歩は、本来デジタルとは程遠いようなハードな不動産の世界にもデータセンター施設需要という形で影響を及ぼしはじめている。 

誤解を恐れずに言えば、データセンター(DC)は元来企業内のサーバールームであった。大容量接続を可能とするブロードバンドの普及以前、企業は内部ネットワークを使い情報システムの最適化をはかった。企業オフィスの一室をサーバールームとして利用し、それらはオフィスの一部であった。それがブロードバンドの普及により、オフィス内に置く必要自体が薄まり、外部への集約化が進んだ。その後、分業が進みDC の運営に特化したオペレーターによる、デ ータハウジングやコロケーションが支持されるようになった。企業は自身の DC 施設に関わるメンテナンス、設備更新そしてセキュリティについて心配する必要が大幅に減った。さらに、サーバー機器を含むハードウェアやソフトウェアを提供するクラウド・サービスによって、物理的な負荷を最小限に留めることができるようにもなった。 

その過程において、自用の DC を保有していた企業は、DC 以外への事業投資など企業戦略に基づき、また同様に老朽化する DC の設備更新の費用とタイミングを見越して、DC を売却する動きが始まった。日本では、売却後に 10年間ほどの賃貸契約を買主と結ぶのが一般的で、この売却の動きは 2000 年以降に始まっている。またこの所有と運営の分離は、DC オペレ ーターについても同様である。思いのほか急速に進む DC への需要と、不動産リスクを減らし本業である DC のオペレーションへ専念するため、不動産投資家と協力し合い DC を開発するという動きが 2010 年以降みられるようになった。

日本における投資は2通り

DC は機密性が強いアセットであるため取引状況を把握することが難しく、表面上は事務所や産業用施設として取引されることが多いのが特徴である。DC 内には機密情報や生活基盤に関わるデータそして時には政府機密も保管される場合があるため、場所が特定されることはリスクを意味する。機密データを狙ったテロリズムのリスクも考慮しなければならない。また、DC の立地に求められる要件は地盤の良さ、水害リスクの低さなどもある。繁華性や視認性は必要なく、交通利便性についても他のアセットクラスと比較して許容範囲は広いものの、電力供給量やファイバーの敷設情報などのインフラ面での制約もある。余剰光ファイバー、いわゆるダークファイバーがどこにでもあるわけではなく、また、新規の敷設には大きなコストと時間がかかる。また、現状ではインターネットエクスチェンジも首都圏と関西圏に集中しているため、必然的に立地選定もその影響を受けている。 
現在、日本市場では不動産投資家にとって大きく分けて2種類の投資機会が主に存在している。既存の企業 DC を購入し同企業へとリースバックする「セール・アンド・リースバック型投資」と、特定の企業や DC オペレーターに対して、開発からつくり上げる「ビルド・トゥ・スーツ型投資」である。 

①セール・アンド・リースバック型投資

セール&リースバック(S&L)型 DC は、その多くは 1990 年代かそれ以前に建てられ、設備自体が古いものが多い傾向にある。それだけに取得できるイールドは魅力的でもある。保有企業がテナントなので取得した日から安定的なキャ ッシュフローがあり、しかも一般的にテナント・プロファイルも高い。

企業のオフ・バランス化ニーズで不動産売買

市場に出てくる DC の多くは大都市圏の周辺部にあり、比較的望ましい立地が多い傾向にある。一方で前述の通り 1990 年代以前に建設されたものが多いため、残念ながら現在のコロケーション・ニーズに求められる建物のスペックは原則として有していないことも多い。設備は更新することで対応は可能であるものの、躯体部分のスペ ックを上げることは難しい。このような DC を S&Lにより収益還元価格で取得した場合は、土地と建物の価値の比率が建物に配分されてしまっているため、売主が退去した後にスクラップ&ビルドを検討すると投資に見合った回収ができなくなる場合もある。物流案件で起きているように、多くのテナントニーズが高規格の施設に移行してしまうわけではなく、低規格で賃料の安い施設に対するニーズも一定量が見込まれるものの、その量は減少していくことを念頭に入れる必要があるだろう。従って、S&L の売主からの賃料はあくまで有期還元と考え、リースバック期間満了後のリテナントの際の賃料の見極めが重要とな ってくる。

投資機会が市場に出た際、投資家自身の投資が事業者にとっての出口戦略になり得る、という点を忘れてはならないだろう。あわせて、投資案件自体が DC 以外の選択肢を持つ物件であることの意味はかなり大きいとも言える。コンバージョンの可能性の検証も必要で、投資の際には注意が必要である。つまり、S&L 型のDC は物件の選別が極めて重要となってくる。 

②ビルド・トゥ・スーツ型投資

2010 年代以降建築されているビルド・トゥ・ス ーツ(BTS)型 DC は、クラウド・サービスやビッグデータ、AI といった分野の成長を背景としており、建物や設備のスペックもこれまでの事業会社の自社利用 DC とはまったくの別物である。現時点での新規 DC ニーズは7mを超える階高や平米当たり 1.5 トン以上の床加重を求められることもあり、特別高圧の受電容量も大きい。当然にテナント・プロファイルが非常に高く、テナント解約リスクが低いのも特徴である。この場合、不動産投資家は DC 施設の供給元となる。

BTS 型の DC は、契約期間は 10 年単位になることが多いが、基本的には解約のリスクは低いと考えられている。大型のハイパースケール型 DC であれば、設備投資が百億円単位となるため、建物の建築費よりも大きい場合も多い。建物所有者とテナントの資産区分において、建物所有者が保有する設備を最小限のものとなるよう仕切っていくことで、投資に対する償却後の利回りを確保することが可能となる。またこれは同時にテナント解約リスクを下げることにもつながる。つまり、テナント解約リスクの観点では、BTS 型 DC のほうが優位にあると言えるだろう。未だに投資機会は限定的であるものの、すでに安定稼働している BTS 型案件が売買された事例も出てきており、投資利回りがここ数年で急速に圧縮されてきている。 

データセンターと サステナビリティ問題

人々が高速で情報のやりとりをするようになり、その恩恵から DC 需要も急速な成長を遂げている。しかし DC 産業の急成長に伴い、人類にとって極めて大きな環境問題にも直面することとなった。世界の DC は年間 200 テラワット時(TWh)、つまり世界の電力消費量の約1%を消費していると推定されている。同施設の電力消費量は著しく高く、二酸化炭素排出量も膨大なものとなっており、世界各国の政府は DCの環境に配慮した運用を求めている。 
シンガポールは、いままさにこの議論の真っ只中にある。現在、約 60 の DC があり、さらに173MW の DC の建設が予定されている。同国は、東南アジアの地域ハブとして、その立地の優位性を活かし、グローバルな DC 事業者にと って、好ましい進出先としての地位を確立させている。しかし、いま政府は DC の新規建設への承認を意図的に停止している。同国貿易産業省によると、過去 10 年間に承認された DC 施設は 1000MW 以上に達しており、2020 年の国内発電容量1万 2582MW と比較すると約8%もの国内電力が同施設によって消費される計算となる。そのため政府はサステナブルで高品質な DC 施設開発を強力に推進するためにも、具体的な解決策を見出すまではこの承認延期が続く可能性は高い。 

これは日本にとって他人事ではない。足元では、低金利環境の恩恵により不動産投資家は豊富なドライパウダーを手にしている。DC を資産配分戦略の一部として取り入れる投資家が増えており、投資市場における競争は激化している。しかし、脱炭素社会 2050 年目標に向けた脱炭素 DC への議論がさらに本格化していくことは必至である。そのため、責任あるエクイテ ィ投資家や金融機関が DC 投資の持続可能性を精査しはじめるのは時間の問題と言えよう。これからは単なる「成長セクター」であるだけではなく、ESG の枠組みでの検討が必要不可欠となる。 

最後に

われわれは今後の 5G 普及により、これまで4G によってもたらされた過去 10 年間を超える速度で、技術革新を経験していくことになる。 5G は、より多くのデータがこれまでにない速度と量で行き来するようになり、それに伴ってデータトラフィックが急激に増加することで、DC の需要を大幅に高めることが期待されている。エリクソン社は、2026 年には 5G 携帯電話契約の総数が全体の 44%に達すると予測している。また、このうちの 65%以上がアジア太平洋地域からの需要となることも見込まれており、DC の需要は引き続き同地域に集中すると考えられる。 
いま、サステナビリティに真剣に取り組む不動産投資家のみが、このように期待される今後の成長機会を取り込める、といっても過言ではないだろう。Act Now! 

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