クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドは、「主要経済インディケーター」を発行いたしました。
「主要経済インディケーター第二四半期2020」のレポートは、こちらからダウンロード頂けます。
2020年Q2の実質GDPは前期比7.8%減(年率換算27.8%減)と大幅に減少し、リーマンショックで特に影響を受けた2009年Q1の同4.8%(年率換算17.8%)を大きく下回りました。4月頭から5月末にかけた緊急事態宣言や世界的な出入国規制で内需外需共に幅広く悪化。緊急事態宣言解除後は、自動車や家電等を中心に需要が戻りつつあり、6月の小売り販売額は回復し、輸出も前月比2か月連続の増加、景気動向一致指数も底をつき5か月ぶりに上昇しました。労働環境は完全失業率2.8%と7か月ぶりの低下となった一方、有効求人倍率は1.11倍と6か月連続の低下となりました。失業率は前月から改善していますが雇用助成金の効果によるものと思われます。
主な動向は下記の通り。データは8月24日時点のものとなります。
- 実質GDPの前期比は年率で27.8%減と戦後最大の落ち込み。
- コアCPIは原油価格持ち直しで石油製品のマイナス幅が縮小する一方、生鮮食品を除く食料の上昇幅が縮小し、前年同期比及び前期比は共に横ばい。
- 貿易収支は4か月ぶりの黒字。輸出は前年同期比19.2%減少し20か月連続の減少。前月比では2か月連続の増加となった。中国への輸出は7か月ぶりに増加。輸入は同22.3%減少し15か月連続の減少。
- 大企業・製造業DIはマイナス34となり、リーマンショックの影響を受けた2009年6月以来の落ち込みとなった。前回からは26pt低下し、6期連続の悪化。大企業・非製造業DIは前回から25pt悪化し、マイナス17。下げ幅は統計開始以降過去最悪となった。
- 景気動向先行き指数は前月比6.7pt増と2か月連続の上昇となり、一致指数は同3.5pt増と5か月ぶりに上昇した。小売りや耐久消費財の回復が寄与した。基調判断は11か月連続の「悪化」となり、リーマンショック時と並び過去最長。
- 7月末の株価は、弱い決算内容と円高が重しとなり7月後半は軟化。
- ドル・円相場は、米景気悪化でドル売りが先行した。
- 原油価格は7月の月中平均で40.8ドルとなり、前月から2.5ドル上昇。EIAによる7月の米在庫が週報ベースで計約1,493万バレル減少した事が好感された。
- 失業率は前年同期比で33万人増加し、有効求人倍率は前月比0.09pt低下と6か月連続の悪化。
- 建築工事費は2019年12月をピークに軟調。大手50社が受注した建設工事は、民間工事が前年同期比22.5%減、公共工事は同15%増。
- 貸出態度D.I. (大企業/不動産)は、前四半期から5pt低下し、前年同期比は8pt低下。
- 小売りは前月比11.3%増。自動車が大きく寄与した他、家電、アパレル、GMSやSC等の売り上げも寄与。
- J-REITの株価は、上値が重く、前月比0.26%増とほぼ横ばい。
- 1-6月の粗鋼生産量は前年同期比6%減少したものの、中国が前年を上回るペースで増加している。中国以外の粗鋼生産量が落ち込んでいる為、鉄鉱石価格は前年同期比9.7%減少するものの、中国の高水準な需要と比較的低水準な同国の港湾在庫により前月比では4.5%増と3か月連続の増加。一方原料炭は工場閉鎖の影響等で需要が低下し、前期比7.5%減。