中国国内での感染が減少していることから、中国はビジネスが復帰しつつあります。各地オフィスに電気が点されるとともに、ビルオーナーやテナントは新たなパラダイム・シフトを経験しはじめています。それは財政難のテナントにとっては、リモートワーク導入の成功度合い、そもそものオフィススペースの存在価値の見直し、そして危機の際にビルオーナーがどの程度テナントを支援したかを改めて評価する動きです。ビルオーナーにとっては、テナントとの関係を維持することと、賃料収入の持続可能性のバランスをいかにして取るかを綱渡りすることを意味します。
私たちは、感染拡大期や回復期に渡って中国のビルオーナーからいくつかの重要なイニシアチブを見てきました。世界中のオーナーは、彼らがとった危機への対処の方法から何を学ぶことができるのでしょうか。
1.賃料の削減
オフィス資産の安定稼働と長期的な賃貸収入の確保にはテナントの事業継続性が重要であることは、多くの人が理解しています。
中国の多くのオフィス市場では、この四半期に賃料が減少していましたが、各地の良質ビルのオーナーの多くは、賃料と管理費の減額を申し出ました。
これまでに、Wanda、China Resources Land、Longhu、Xincheng、Polyを含む多くの大手商業用不動産デベロッパーが、自社の不動産について一定の賃料減額措置を実施しています。
税金の面では、不動産賃料には消費税、法人所得税、不動産税、その他の税金の支払いが含まれます。これと同時に税金の減免を行うために、ビルオーナーはテナントとの間で年間賃料を減額する特約を結んでいます。
2.健康と安全
ビルオーナーは管理会社と緊密に連携し、危機を乗り切るためにテナントの健康と安全を確保してきました。これには次のものが含まれます。
- 体温計測(検温)
- アルコールジェル
- 追加の清掃サービス
今後、ビルオーナーやテナントは、インテリジェントビル管理や健康安全管理など、ウェルビーイングとよりスマートな職場を重視していきます。これらの機能を追加することで、ビルオーナーとテナント、テナントとその従業員の間の信頼関係が強化されます。
3.将来の付加価値サービス
将来的には、中国の質の高いオフィスビルオーナーは、さらに一歩踏み込んだサービスをテナントへ提供する可能性が高いです。これらの新しいサービスには、次のものが含まれます。
- 事業登記サービス
- 税務上のアドバイス
- 事業補助金申請支援
- 銀行ローンのサービス支援
これらのサービスをテナントに提供する付加価値は明らかです。それはテナントの事業維持可能性を確実に高め、将来の不履行と立ち退きのリスクを減らすことです。このサービスが今後数カ月無料で提供されたとしても、将来的にはビルオーナーに収入を着実にもたらす可能性があります。そして最後に、オーナーとテナントの関係が強化されることで、テナントが同じビルに留まる率が高まります。
4.関係構築
COVID-19の蔓延を機に、中国の質の高いビルオーナーが、より強力なオーナー・テナント間の関係性を構築し、自身のオフィスビルに入居するすべてのテナントの背景とニーズをよりよく理解していくことでしょう。
他のテナントとの関係や子会社のネットワークを活用し、入居テナントのビジネスニーズを満たすことで、ビルオーナーとテナントの共生関係を強化することができます。
基本的に、テナントは現危機状況下でビルオーナーに次のことを期待しています。
- 経済的サポート
- 従業員の安全
- ビジネスガイダンス
- 長期保証
これらを顧客に提供することができるビルオーナーは、COVID-19の収束と経済回復が始まると優位性を持つでしょう。
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