クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのアジア太平洋地域レポート 「Reclaim 2020(2020年を巻き返す)」 によると、投資市場における取引活動は、ディストレス資産売却の兆候は限定的ではありましたが、それでもトレンドを下回る取引水準にとどまる見通しです。2020年下半期には改善が予想されます。
サプライチェーンの混乱は残るものの、Eコマースの急成長により物流施設のパフォーマンスは好調であり、投資家も一層の関心を寄せています。また、ディストレス資産の処分による投資案件へのアクセスを待つ投資家も依然として多い一方で、売り側と買い側の取引価格における期待値のミスマッチもあるのも事実です。
鈴木英晃博士(C&W日本ヘッド・オブ・リサーチ&コンサルティング)は次のようにコメントしています。
「依然として豊富な投資マネーの投入は困難な状況が続くと思われますが、クラブディール、ジョイントベンチャー、パートナーシップを通じた取引のいくつかには先行きの明るさが見られます。これは新型コロナウイルス感染拡大以前に信頼関係を築いていた現地マネージャーとエクイティ投資家によって行われており、必ずしもエクイティ投資家の現地視察を必要としないものも含まれます。」
田中義幸(C&W日本キャピタルマーケッツ、シニア・エグゼクティブ・ディレクター)も次のように補足しています。「これまで不動産価格の高止まりが続いていただけに、今回を“買いの機会”として見ている投資家も存在します。海外投資家もこれを期に現地パートナーとの関係性を強化し、購入を進められる体制をより強化してきています。」