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アジア及び欧州におけるリテール事業回復への道のり

Yvonne Court • 2/06/2020

Small steps on the road to retail recovery in Asia and Europe

 

欧州諸国でCOVID‐19による制限解除に向けた最初の試験的なステップについて議論される中、アジアの教訓から得られるものはあるでしょうか。アジア大陸はいち早くパンデミックからの脱出を遂げ、欧州より早い事が一般的に知られています。しかしコロナウイルス感染の状況や転帰は、アジアも欧州と同様に国によって大きく異なり、それは国の政策が大きく寄与していることを把握する必要があるでしょう。一部アジアの国(中国、香港、シンガポール)では厳格な隔離及びロックダウンが実施されている一方、他アジア諸国(特に台湾及び韓国)では通常に程近いビジネスが継続されています。また、上記政策の間に立ち位置を置く国(日本、インドネシア、インド等)もありますが、その数は欧州よりも少ないと言えます。

 

初期段階にも関わらず、中国及び香港でさえいくつかの共通のテーマが浮上します。同地域の消費者は職場へ戻り緩やかな回復がみられるものの、客数及び売り上げは未だ昨年を下回っている状態です。他方、韓国のショッピングセンター(強制閉鎖期間なし)は繁盛しており、客数はCOVID-19感染拡大前の85%まで回復し、売り上げは4月前半に急激な回復を見せました。しかし最終的な売り上げや客数の統計を判断するには時期尚早であるといえます。

 

中国と香港では、ロックダウン期間中多くのグローバルブランドが店舗を閉鎖し、スタッフのレイオフが実施されました。これにより店舗の売り上げは大打撃を受け、再編戦略の一環としてこの閉鎖は一部永久的になる事も考えられます(欧州でも発生する可能性が高いでしょう)。いくつかの量販用ファッションブランドはCOVID-19の影響を受け苦境に立たされている中で、国内での競争の激化(特に中国)など、この閉鎖プロセスを加速させるその他の要因が既にありましたしかし店舗での消費者支出の余地はまだ残されており、戻ってくるという期待感も存在しています(ロックダウン後のリベンジ消費)

 

レストラン及びその他の飲食店はロックダウン第一段階での強制閉店、そして現在ではソーシャルディスタンスによりテーブルの距離を1.5-2m開ける事が要求されており多大な影響を受けています。更に中国では消費者は入店時に検温を行い、追跡(陽性反応等で後に必要な場合)の為の身分証明書の提供が義務付けられています。WeChat(中国版WhatsAppともいえ、全ての用途に使われるアプリ)は過去14日間の個人の行動をすべて監視できます。これにより規制エリアにまだ人がいる場合はショッピングモールやオフィスへの流入を制限する事が可能となっています。これら全ての対策を組み合わせる事により、カバーできる客数と売り上げに減少が生じました。映画館やジム等ほとんどの施設はまだ閉鎖されており、今後も暫くは閉鎖される可能性があるでしょう。

 

オンラインショッピングは自社ブランドのウェブサイトではなく、特に中国のアリババの様なオンラインプラットフォームにとって重要です。香港に代理店を置くいくつかのブランドは高い販売量を報告しています(例えばエスティーローダの販売量は報告によると3倍増加しました)。サプライチェーンが影響を受けている事により、オンラインで購入した商品を提供するための在庫確保が主に懸念されます。

 

ショッピングセンターのオーナーの反応は時間と共に変化を見せました。2月には実際オーナーはある程度賃料を譲歩する姿勢があったものの、現在はこの猶予期間はほとんど見られません。香港で代表的なオーナーはケースバイケースで賃料を譲歩しており、主な判断基準は近年のテナントの業績によります。一部の例では月間ベースで20%の譲歩が含まれています;期限切れのリースは魅力的な賃料で12か月延長するか、先に賃料の半分を払い、残高を6か月の分割で支払うことが求められるケースもあります。韓国では4月末から短期間の賃料譲歩の可能性は低いでしょう。今後マーケットにおけるリテール及び飲食店の賃料水準は修正されていくことが予想されます。

 

人々がこの状況を踏まえ、どのように考え感じているでしょうか、また買い物の仕方、働き方でさえ需要環境に変化をもたらすことが予測され、COVID-19感染拡大前の標準が標準でなくなる可能性がある事は言うまでもありませんが、多くは依然不確実性が残り将来を見通すには時期尚早であると言えるでしょう。このような将来の生活態度の変化において、ショッピングや飲食、社交等で外出する際に「保護されているという安心感」がその中心となるでしょう。

 

中国、香港及び韓国の例で示されたとおり、健全な労働力が不可欠であり、従業員をいかにショッピングセンターやショップへ復帰させるかが重要であると言えるでしょう。また、以下に示すあらゆる形態での衛生が重要となってくるでしょう。

 

サーマルスキャナー/体温計、手指消毒の徹底、マスクの支給、ソーシャルディスタンスにおけるガイドライン、換気の徹底、共有エリアにおける定期的な清掃の可視化、店舗入店制限、一方通行制度、また顧客追跡(プライバシー問題が浮上する可能性もあります)等。

 

欧州市場の再開に伴い、アジア諸国の経験を活かせる局面も出てくる可能性がありますが、人口統計及び買い物習慣の高い類似性は、今後の進捗を確認する上で確実により高い関連性を示すことが期待されます。今後数週間での開店に向けた一つの段階として、開店可能な店舗規模、入店可能人数、店舗と製品の衛生が重要となってきます。旅行者の短期的減少及び中期的不透明感から、低水準な客数と顧客消費はリテールの利益を圧迫する事が予測されます。消費者の健康及び清潔への認識を高め、買い物や消費において安心感を与え、テナント、オーナー、投資家の全てにおいて徐々に価値を創造していく事が最も重要なファクターとなることは間違いないでしょう。

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