- l新型コロナウイルスの感染拡大で、消費増税と自然災害に苦しむ経済成長への影響懸念
- l投資不動産取引量は前年同期比22.9%減少、2019年の住宅とホテルの取引が加速
- lプライムオフィスの資産価格上昇、日銀の金融緩和継続により今後も同水準を維持する見込み
グローバル不動産総合サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町)は、2019年第4四半期不動産市場レポート「日本インベストメント MarketBeat」を発行しました。このレポートは、四半期ごとに市場のパターンを分析しながら、来期の市場パフォーマンスを予測しています。主な調査結果は次の通りです。
新型コロナウイルスの感染拡大で、消費増税と自然災害に苦しむ経済成長への影響懸念
昨年10月の消費増税及び大型台風の影響で、2019年第4四半期の経済は年換算率 -6.3%(1次速報)のマイナス成長を記録しました。前回消費増税後、2014年第2四半期の年換算率 -7.4%の減少幅以来の規模となりました。賃金上昇が伸び悩む中、個人消費が回復するまで前回より時間を要する見通しです。また、新型肺炎の感染拡大が、リテールとホテル業界を直撃し、2020年第1四半期のGDPにマイナスの影響を与えると予想されます。
投資不動産取引量は前年同期比22.9%減少、2019年の住宅とホテルの取引が加速
2019年第4四半期の不動産総取引量(5億未満の取引を除く、速報値)は、10,196億円でした。これは前年同期比 -22.9%の減少でした。J-REITを除いた上場不動産会社の取引量が56.9%減少した中、機関投資者の投資意欲が強く、今期全体の取引量の33.0%を同投資家層が占めました。また、タイトな利回りと限定的な投資案件により、オフィスの取引量は前年同期比-56.6%と引き続き減少しました。一方、物流施設、ホテル及び住宅の取引が好調で、それぞれ前年同期比、89.6%、94.2%及び104.71%増加しました。2019年通年で見ても、ホテルと住宅セクターは2018年より30%以上取引量が増加しました。しかしながら、2020年第1四半期は成約予定のメガディールがあるものの、新型肺炎の影響がリテールとホテルセクターに波及しこれらセクターの投資活動を減速させるとみられます。
プライムオフィスの資産価格上昇、日銀の金融緩和継続により今後も同水準を維持する見込み
2019年第4四半期のC&Wプライムオフィス資産価格指数は前年同期比4.2%上昇を記録しました。日銀が1月金融政策決定会合に、金融政策の現状維持を決定し、不動産を含む融資環境は引き続き友好的となっています。同4半期の不動産向け貸出態度(日銀短観)は16に回復し、引き続き高水準を維持しました。不動産投資家の投資余力も引き続き豊富であるため、リテールとホテルセクターへの下方圧力以外、不動産価格に対する新型肺炎の影響は限定的になる見通しです。
田中 義幸(C&W ヘッド・オブ・キャピタルマーケッツ)は次のように述べています。
「2019年Q4はQ3に続き、ホテル、住宅、物流施設への投資が活発に見受けられました。特に住宅投資は従来安定収益を確保できる保守的な資産として投資対象とされていたが、賃料上昇のトレンドを受け、資産価値が上昇する投資として活発に取引がなされました。」
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