- 増税緩和策講じるも消費は落ち込み
- 渋谷は若者の街から全世代が楽しめる流行発信地へと進化
- 訪日客数が伸び悩むなかインバウンド消費が過去最高を更新
グローバル不動産総合サービスのクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町)は、2019年第4四半期不動産市場レポート「日本リテール MarketBeat」を発行しました。このレポートは、四半期ごとに市場のパターンを分析しながら、来期の市場パフォーマンスを予測しています。主な調査結果は次の通りです。
増税緩和策講じるも消費は落ち込み
日本全体の小売業販売額は、秋期において前年同期比0.1%と僅かに減少しました。消費税引き上げ後の買い控えがその要因とみられますが、台風19号 を始め、秋期の大型台風や豪雨も販売額を押し下げました。月単位の販売額では、9月には増税前の駆け込み需要によって、前年同月比(以下同 様)で全体小売業が9.2%増えました。百貨店は22.1%増を記録するなど、各業種の販売額が伸びました。一方、増税後の10月は全体の消費が7.0%減少しました。百貨店は、災害による臨時休業の影響もあり17.3%減と前回増税後より大きい下げ幅を記録しました。政府は影響緩和を図り、軽減税率やキャッシュレス決済に伴うポイント還元を実施しました。2ヶ月弱で還元額が780億円に達したものの、コンビニなどのポイント還元対象店に限られるためその効果は限定的となっています。
渋谷は若者の街から全世代が楽しめる流行発信地へと進化
着工から5年を経て、渋谷駅直上の「渋谷スクランブルスクエア」 が11月にオープンしました。16層の縦積施設が特徴で「世界最旬宣言」をコンセプトに、ラグジュアリーブランドやセレクトショップ、日本初登場の食物販店舗が出店するほか、屋上展望施設が話題となりました。更に、12月開業、「渋谷フクラス」内の 「東急プラザ渋谷」が40代以上のシニア層がターゲットとするなど、渋谷駅周辺は全世代が楽しめる街に変わりつつあります。一方、道玄坂方面は新たな若者文化の拠点を目指します。春に改装およびロゴを一新した「渋谷109」に続き、建替えのため一時閉店した「渋谷パルコ」も竣工とともに営業を再開しました。 Nintendo TOKYOやポケモンセンターなどポップカルチャーの店が集結する6階「Cyberspace Shibuya」は開業後連日長い列を成しました。オリンピックイヤーの今年には、商業施設およびホテル併設の宮下公園開園や銀座線新駅舎運用開始が計画されており、渋谷の進化はさらに継続していきます。
訪日客数が伸び悩むなかインバウンド消費が過去最高を更新
訪日外国人数は2019年1月から11月の累計において過去最高を更新したものの、直近の10月・11月では共に前年同月を下回りました。日韓関係の影響で韓国人来日人数が大きく減少したことが主な原因です。1~11月の累計人数は、韓国を除いた主要19市場が全部前年同期から増加を記録しているものの全体での伸び悩みが続きます。一方で、ラグビーW杯で欧米客が増えたことと訪日中国人数の増加が寄与し、2019年第3四半期の訪日外国人旅行消費額は前年同期比9.0%増で、過去最高を記録しました。消費増税後の10月でも、インバウンド客の下支えにより医薬品・化粧品のみ販売額は前年同月の水準を維持しました。今後は統合型リゾート開発を機に、ラグジュアリーツーリズムや高級ホテルの建設が予定され、さらなるインバウンド消費の拡がりが期待されています。
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