2022年版のアジア太平洋地域内ランキングでは、シンガポール、香港、シドニー、ソウルに続き、東京は域内5位にランクしました。
グローバル不動産総合サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)は、世界の主要都市を調査対象としたレポート「世界データセンター市場比較 2022」を発表しました。このレポートでは、絶えず成長を続けるアジア太平洋地域(APAC)データセンター市場が、今後10年間で地域別では世界最大の市場になると予想されています。
都市別ランキングでは、世界最大のデータセンター市場であるバージニア州北部が、豊富な竣工予定物件、優れたネットワークへの接続環境、政府補助金の優位性、低コストの電力供給などを背景に、3年連続で世界総合トップになりました。アジア太平洋地域のランキングでトップとなったシンガポールは、世界総合においても、2021年から順位を2つ上げて、シリコンバレーと並ぶ2位となりました。シンガポールは、環境懸念などから当面のデータセンターの新設は規制されておりますが、強力なエコシステム、優れた接続環境、安定したDC需要、主要なクラウド・サービスが制限なく使用可能かつ拡張可能であることなどから、域内展開においては有力な拠点となっております。シドニー(APAC3位)、ソウル(APAC4位)、東京(APAC5位)では、高コストが課題とされていますが、主要な結節点では用地と電力が依然としてアクセス可能であるため、更なる大幅な伸びが期待されています。
図1:都市別データセンターランキング
ジャカルタ、大阪、ソウル、インドの主要地方都市など開発で後続する都市も急速に発展し続けているため、今後3~5年間で先行する都市と同等の規模に達していくでしょう。さらに新しい市場も追随し始めています。その原動力は米国企業、中国企業であり、グローバルな大規模DC事業者(ハイパースケーラー)が地域内シェアを争っています。最大手テナントとなるハイパースケーラーは域内カバレッジを網羅すべく途方もない規模のデータ容量を必要としているため、こうした後発市場の成長も牽引されていくでしょう。
総じて、竣工予定の物件は増加傾向で、調査対象都市の総計では約4.1ギガワット(GW)となり、前年調査の2.9GW、前々年調査の1.6GWから増加しています。最大手テナントなどでは100メガワット規模のキャンパスが一般的となりつつあり、より大規模な物件が必要とされています。
少なくとも今後5~10年間は、既存施設を改修して使うことがほぼ不可能であるため、新築物件が必要となるため、さらなる市場の成長が期待されます。中南米からアフリカにまたがる新興地域でも、海底ケーブル新設により、多くの国民において高速データアクセスが初めて可能となることから、大幅な成長が期待されています。後進国の市場も成長を続けており、概ねは間もなく先進国市場と同等の規模に達していくでしょう。
「ハイパースケール向け需要、大手テナント向けに進行中の数十億ドル規模の新規開発により、アジア太平洋地域全体のデータセンター業界の展望は非常に明るいものとなっています。そもそも、域内で竣工予定として判明している物件に相当する約1.3GWは、実際に計画されている物件のほんの一部に過ぎませんし、今後10年でさらなる成長が見込まれています。」と、ケビン・インボーデン(C&W データセンターアドバイザリーグループ、リサーチディレクター)は述べています。
タッド・オルソン(C&W 北アジア マネージングディレクター 兼 アジア太平洋データセンタープラクティスグループ長)は次のように述べています。
「アジア太平洋地域の見通しは非常に好調であり、多くの多国籍企業がクラウド・サービスのさらなる改善を必要とし、多くの地方政府が電子化を追求しています。先進国、新興国を問わず、大容量データに対する需要は継続してくでしょう。セクター別投資において絶好のタイミングであり、我々の経験、専門知識、顧客や開発業者へのネットワークを活用し、お客様の投資及びプラットフォーム構築の機会を加速させていきたいと考えています。」
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世界データセンター市場比較の年次報告書について
世界データセンター市場比較の年次報告書とは、主要都市別にデータセンターを13のカテゴリーで評価し、カテゴリーごとのランキング及び総合ランキングを決定するものです。2022年版の調査対象範囲は、合計1,333のデータセンターを含む55都市へ拡大されました。同レポートをダウンロードするには、こちらをクリックしてください。