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メディア掲載 | 不動産経済研究所(2023年4月12日号)品質の多極化が進むオフィス市場 ―2023 年の展望―

17/05/2023

クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの知見がメディアに掲載されました。

出典:不動産経済 Focus & Research No.1420号

弊社海外拠点の調査に基づくと、アジアにおけるオフィス床需要は底堅いが、オフィス回帰人口がコロナ前の水準に対し概ね7割前後1 で推移している米国では総じて床需要が弱い。2022 年の年間のネットアブソープションを総括すると、シンガポールやソウルなどはプラス、在宅勤務の影響がほぼないソウルではコロナ以前の水準も上回った。一方、米国主要都市の床需要の落ち込みは、東京の4倍以上となっている(図表 1 参照)。 

図表1:都市別の 2022 年の年間ネットアブソープションとコロナ前の水準からの変化 

Fudosankeizai-20230412-Figure1

*オール・グレードの指標、その他の都市はグレードA の指標

出所:クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド

弊社では 2020 年代末までに米国内で3億3000 万平方フィート以上の空室面積が発生することを予測しており2 、今後のオフィス床需要もコロナ前の水準までの回復は見込み難い。

東京では、2022 年半ばから感染動向にかかわらず職場人口がコロナ前の水準の約8割で安定して推移しており、米国各都市よりも回復がみられたが、アジアの各都市の水準に今後も至ることはないとみられる。こういった職場回帰の状況も踏まえ、2023 年の都心プライムオフィス賃貸市場における、需給、平均賃料の見通しをまとめていきたい。 

新規供給増加による需給緩和

都心のオフィスの需要状況はやや弱含んでいる。2022 年の年間ネットアブソープションは、大企業における在宅勤務への移行に伴う縮小移転や床返却などを反映して、過去 10 年間平均のネットアブソープションの半分程度にとどまった。概ね2~5年間という賃貸契約サイクルを鑑みれば、オフィス入居面積の合理化は道半ばと言えるだろう。 

一方で、2023 年に予定される新規供給は、前年比3倍以上に増加し、過去平均新規供給の倍以上に相当する(図表 2 参照)。このような新規供給物件の内定率3 は 54.5%にとどまり、少なくとも供給が集中する今後 18 カ月間は空室面積が増加していく蓋然性が高い。

2025 年までの新規供給の高止まりや在宅勤務に伴う需要面積の減少なども織りこみ、弊社の基本シナリオでは都心5区のグレード A オフィス空室率は今後2年間で5%台半ばをめどとした緩やかな上昇を予測している。 

図表2:都心5 区グレードA オフィス:需要と供給(坪)

Fudosankeizai-20230412-Figure2

出所:日経不動産、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド

賃料は下落傾向 

オフィス賃貸市場は借り手市場の様相を強めている。2019 年末から 2022 年末にかけて都心主要5区のグレード A オフィスビルの募集賃料は 2.1%下落したが、想定成約賃料は 3.0%下落した。さらに、グレード B オフィスビルにおいて、前者は 7.2%、後者は 9.2%下落したことから、テナントの品質重視の傾向が強まっていることがわかる。
 
都心一等地におけるトップ・クラスの品質を誇る物件の中には、分割区画の設置や入居テナント専用のオフィス関連サービスの強化などにより、新たなテナント需要を上手く取り込み、募集賃料も概ね4万円台を現状維持している物件もある。一方、グレード A オフィスでも割安な賃料を設定することで空室面積を減らした物件が目立った。こういった物件の存在により、新橋・汐留エリアでは、グレード A オフィスの空室率は 2022 年第4四半期に前年同期比 12.8pp低下の 1.3%となり、平均想定成約賃料は同4.4%下落した。加えて、隣接する浜松町・御成門エリアでは、玉突き型のテナント流出により空室率は同 6.1pp 上昇の 9.8%、想定成約賃料は同 3.5%下落したことから、割安な賃料を設定した物件の周辺へも価格調整圧力が及んだと言えるだろう。さらには、比較的立地面で劣り、築古のビルが多い晴海・勝どきエリアでは、投資ファンドの参入などにより 2022 年第4四半期のグレード A の想定成約賃料は前年同期比5.4%上昇したものの、同空室率は 12.6%と高止まりしたままである。
 
上記のようなオフィス市場の多極化の傾向はグローバルなオフィス市場でも確認されている。当社調査2によると、2020 年以降、米国全体のネットアブソープションはマイナスで推移したが、貸室総面積全体の9%を占める「トップ・クラス」のオフィスでは1億平方フィートのネットアブソープションが確認された。このような高品質オフィスビルは今後の新規供給物件も含めて全体の約 15%を占め、市場平均賃料に対して3割を超えるプレミアムを維持していくと予測している。一方、全体の約 25%を占める「ボトム・クラス」のオフィスは、用途改定や用途転換を行わない限り空室率も高止まりしていくと見通している。
 
世界的な景気後退を受けて、日本企業のコスト削減意識は高い。移転理由の調査4 において「立地の良いビルに移りたい」に加え「賃料の安いビルに移りたい」という回答が 29%で同率1位になったことも、この意識の表れである。当該動向を踏まえ、弊社は今後2年間の実質賃料水準は4%台をめどに下落し、2025 年までは賃料下落サイクルが続くことを見込んでいる(図表 3 参照)。 
 
図表3:都心 5 区グレードAオフィス賃料インデックスと空室率の見通し

Fudosankeizai-20230412-Figure3

出所: クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド

テナントとビルオーナーの今後の戦略は?

新規供給の増加および当面の賃料減額局面を受けて、テナントには機動的な移転戦略の立案を推奨する。

反対に、ビルオーナーには早めの賃料減額を含め、賃貸条件を柔軟に設定していくことを推奨する。ビルオーナーには慎重なリーシング戦略立案を推奨したい。

1 不動産経済Focus & Research No.1419 参照
2 クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド「不動産の陳腐化は投資のチャンス」参照
3 2022 年第4 四半期末時点
4 森ビル株式会社調査、2023 年1 月末付

 

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