2019年8月、横浜は統合型リゾート(IR)の候補地として名乗りを上げました。同地は東京から僅か30分の距離にあり、その近さゆえに首都圏内の旅行者にとって魅力的な場所です。しかし同様の理由から、旅行者の90%近くが日帰り客であり、国全体の平均50%と比較して高い割合となっています。
横浜は、エリア内で外国人訪日客向けの観光を推進してきました。これまでに発展を遂げている中華街やみなとみらい地区に加えて、港町という特性を活かし、首都圏における最大のクルーズ観光地としての地位を築いてきました。また、横浜は国が指定する9つの国際旅客船拠点形成港湾の一つとなっています。
横浜ハンマーヘッド:新たなクルーズ拠点
横浜港内には、現在3つのふ頭があります。2002年に開業し、英国のエフ・オー・アーキテクツによる革新的なデザインで知られる、横浜港大さん橋国際客船ターミナルもその一つです。2018年、大さん橋では、クルーズ船の寄港回数168回のうち大部分を4つのバースをフル稼働して受け入れました。
港全体の受け入れ能力拡大を狙い、2019年に横浜市は近隣の新港ふ頭に新たにクルーズターミナルを建設しました。新しいバースに隣接する形で、2019年10月に複合商業施設横浜ハンマーヘッドが開業しました。延床面積33,000㎡、5階建ての建物で、CIQ(税関、出入国管理・検疫)施設の他、ショップやレストランなど25店舗が含まれます。横浜発祥のチョコレート専門店による新業態のカカオ焙煎所兼カフェなど、外国人観光客だけでなく地元の住人にとっても魅力的なテナント構成となっています。上層階にはインターコンチネンタル横浜Pier 8が入居し、港を一望できる全173室は、最小の客室でも45㎡以上とゆったりとし滞在型リゾートの空間を提供しています。
山下ふ頭はIR誘致の候補地に
「YOKOHAMA AIR CABIN(ヨコハマ・エア・キャビン)」というロープウェイの整備を含めたさまざまな開発計画が進む中、横浜市はIRが臨海開発の起爆剤となると考えています。
IRの候補地である山下ふ頭は、人気の観光スポット山下公園近くに位置する47ヘクタールの敷地です。1963年に国際貿易港として開業しましたが、今日では主な物流機能が横浜港のその他のエリアに遷移していることから、市は同地をMICEや観光、小売り活動における将来の拠点として捉えています。山下ふ頭は、横浜中華街に近い元町・中華街駅から徒歩5分、羽田空港からは首都高速道路湾岸線経由で、車で15分の距離に位置しています。
